アンドレアス・アルムグレンの欧州陸上選手権10,000m優勝の舞台裏

長年にわたる挫折を乗り越え、アンドレアス・アルムグレンはバーミンガムで行われた欧州陸上選手権で、48年ぶりに男子10,000mの大会記録を更新し、自身初となる主要大会でのタイトルを獲得しました。その勝利を支えたデータを紹介します。

アンドレアス・アルムグレンは、1年近くにわたって、ある1つのレースについて考え続けてきました。それは欧州陸上選手権の男子10,000mです。8月15日、イギリス・バーミンガムのアレクサンダー・スタジアムで、彼は思い描いていた通りにレースを展開し、1978年から破られていなかったこの種目の大会記録を更新し、自身初の主要タイトルを獲得しました。

使用デバイス / ツール

ウォッチ: COROS PACE 4 - Neon Yellow

心拍センサー: COROS心拍センサー - Lime

データ分析ツール: COROS Training Hub


バーミンガムに向けた準備

シーズン序盤のバレンシア10kmでの欧州記録での優勝でスタートを切って以来、アルムグレンのシーズンは、重要なトレーニング期間と主要なレースを軸に組み立てられてきました。シーズン序盤を通して、アルムグレンのベースフィットネスは115から149まで上昇し、週間トレーニング負荷は約1000 TLを安定して維持しながら、週ごとの変動もほとんどありませんでした。

アンドレアス・アルムグレンの欧州陸上選手権10,000m優勝の舞台裏

そして、シーズンを迎えるにあたり、彼の目標は明確でした。

「私の中には、目標としている具体的なレースが1つあります。それはバーミンガムでの10,000mです。金メダルを獲得するために、できる限りのことをしたいと思っていて、その過程で速いタイムを出せればと思っています」

2025年東京世界選手権の10,000mで銅メダルを獲得した時とは、また違った自信でした。同じ願望を持ちながらも、そこにはより大きな期待が込められていました。これまで何年にもわたって、故障や疲労骨折、病気、そしてトレーニング計画の中断を経験してきた彼にとっても、今年の目標は、決して揺らぐことはありませんでした。

「素晴らしい冬季練習を消化することができました。それは、完璧ではありませんでしたが、これまでで最高の状態でした。データから得られた分析結果をもとに、より負荷をかけられるようになり、より早い段階からスピード練習を取り入れることもできました。自分の状態が着実に積み上がっていくのが分かり、それが大きな自信に繋がりました」


レース前の分析

アルムグレンは、今回のレースに臨むにあたって、ラスト1周のスパートで勝負が決まるような「ラスト勝負」のレース展開を望んでいませんでした。レース始まると、最初の1000mは3分17秒4で通過し、1200mを通過してから先頭に立ち、自らペースを引き上げて集団をふるいにかけ始めました。

「10,000mを最も速く走れる選手が勝つレースにしたかったんです。これは厳しいレースの進め方ですが、自分の強みは分かっていますし、正面から勝負したかったんです」

レース全体の流れを変えたアルムグレンはペースを上げ、1周64秒(2分40秒/km)までペースアップしました。同時に、アルムグレンの心拍数は146bpmから173bpmまで上昇し、彼の閾値付近の168bpmをわずかに上回っていました。


一定のペースを維持

レースを完全に自分のペースで進めたアルムグレンは、驚くほど安定したリズムを刻みました。続く4000mの各1000mのラップは2分39秒7、2分40秒8、2分40秒2、2分38秒5と推移し、その間、心拍数は176bpmから179bpmへとわずかに上昇しただけでした。

アンドレアス・アルムグレンの欧州陸上選手権10,000m優勝の舞台裏

中間点の5000mで、そのペースについているのは4人だけでした。オランダのマイク・フォッペン、イタリアのイェマネベルハン・クリッパ、フランスのジミー・グレシエ、そして、前回の欧州陸上選手権10,000mを制したスイスのドミニク・ロバルの4人です。

「当然、自分のレースプランがうまくいっているのかどうかを疑い始めるのは普通のことです。これまで何年にもわたる故障や挫折、あと一歩で届かなかった経験が頭をよぎってきます。だからこそ、しっかりと集中して、自分のトレーニングを信じなければなりませんでした」


決定的なペースアップ

レースの明暗がついたのは、7000mからでした。後続の選手たちが徐々に苦しみ始める中、アルムグレンはさらにもう一段ギアを上げて、先頭集団の選手たちをついに振り切りました。アルムグレンはここで61秒台のラップを刻んで後続を大きく引き離した後、再び63秒台に落として自分のリズムに戻りました。レースを観ていた人にはほとんど気づかれないほどの微妙な変化でしたが、ラップデータを見るとそのペース変化がよく分かります。

アンドレアス・アルムグレンの欧州陸上選手権10,000m優勝の舞台裏


フィニッシュ:先頭を独走

最後の2000mは、勝負が決まったかのように見えました。しかし、アルムグレンはフィニッシュラインを越えるまでは油断していませんでした。

「1周ごとに自信は深まっていきましたが、フィニッシュラインを越えるまでは勝ったとは思っていませんでした」

終盤はアルムグレンが先頭を引っ張り始めてからは最も遅いペースだったにもかかわらず、心拍数は徐々に回復し、平均179bpmまで落ち着いていました。

大会新記録の27分23秒44でフィニッシュしたアルムグレンは、後半にペースを上げる「ネガティブスプリット」で走り切りました。最初の5000mが14分05秒07、平均心拍数は165bpm、後半の5000mが13分17秒74までペースを上げ、平均心拍数は180bpmでした。


COROSを活用するアンドレアス・アルムグレン

アルムグレンは、バーミンガムに向けたトレーニング期間からレース本番まで、COROS PACE 4とCOROS心拍センサーを身につけ、COROS Training Hubを活用して、この日のためにフィットネスがどのように高まっているのかを細かく確認していました。それが、約1年前から決めていたプランを信じて実行に移す自信に繋がり、レース中に不安が頭をよぎった時も、最後までそのプランを信じて走り続けることができました。

「本当に長い間、誇りに思える結果です」

アンドレアス・アルムグレンにとって、バーミンガムでの金メダルは、より大きな物語の一部です。それは、これまで何年にもわたって積み重ねてきた努力が、決して無駄ではなかったことの証でもあります。


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