サイクリング指標ガイド:見るべきデータとその重要性

今回の記事では、サイクリストにとって重要な指標と、それぞれを最大限に活用する方法をご紹介します。

パワーメーター、COROS心拍センサー、COROS DURA、COROS GPSウォッチを使えば、1回のライドで膨大なデータが記録されます。しかし、その中でどの指標を重視すべきかは、必ずしも分かりやすいとは限りません。ここでは、トレーニングにおいて特に重要な指標と、それぞれの活用法をご紹介します。


パワーと心拍数:トレーニング強度を把握する2つの指標

あらゆるトレーニングは「強度」をベースとしています。強度は、セッションの負荷の大きさや、それによって得られるトレーニング効果を左右する重要な要素です。サイクリストにとって、その強度を測る最も身近な指標がパワーと心拍数です。さらに、多くの高度なトレーニング指標は、パワーや心拍数のデータをもとに算出されるため、まずはこれらを正しく理解し、活用することが重要です。

サイクリング指標ガイド:見るべきデータとその重要性

パワーは、身体のコンディションに左右されることなく、ワットで表される実際の仕事率を示します。COROSは、ユーザーのトレーニングデータをもとに個別化されたサイクリングパワーゾーンを作成し、フィットネスレベルの変化に合わせて自動更新します。一方、心拍数は、そのパワーを生み出すために身体がどれだけの負荷を受けているかを示す指標です。COROSでは6つの心拍ゾーンを採用していますが、心拍数はパワーとは異なり、ペダリングの強度だけでなく、気温や風、水分補給の状態、前回までのトレーニングによる疲労など、さまざまな要因の影響を受けます。

パワーと心拍数は、どちらか一方がもう一方の代わりになるものではありません。COROSコーチングチームはこの記事で、それぞれの指標をどのような場面で活用すべきかを詳しく解説しています。パワーだけを基準にトレーニングを行うと、コンディションが優れない日でも、COROS DURAに表示される数値だけを頼りに無理をしてしまい、実際には身体へ想像以上の負荷がかかっていることに気づかない場合があります。一方で、心拍数だけを基準にトレーニングを行うと、体系的なインターバルトレーニングにおいて、パワーが持つ精度の高いコントロールを活かすことができません。多くのサイクリストにとって実践的なのは、この2つを組み合わせて活用することです。パワーでワークアウトの目標強度を設定し、心拍数でその負荷に対する身体の反応を確認することで、より効果的なトレーニングが可能になります。


トレーニング負荷:努力感をわかりやすく数値化

サイクリング指標ガイド:見るべきデータとその重要性

心拍数とパワーのデータが蓄積されると、それらをトレーニング計画に活かすうえで重要になるのがトレーニング負荷です。トレーニング負荷は、ライドの運動量と強度を1つのスコアにまとめて評価します。そのため、長時間の持久力向上ライドVO₂ Maxインターバルセッションのように強度が異なるワークアウトでも、同じ基準で比較することができます。

サイクリストにとって、トレーニング負荷が最も重要になるのは、高強度のトレーニングを続けて行う場合です。スイートスポットトレーニングとVO₂ Maxインターバルは、内容こそ異なりますが、同程度のトレーニング負荷になることがあります。そして、その数値こそが、現在のトレーニングを無理なく継続できる状態にあるのか、それとも疲労が蓄積し過ぎているのかを判断する手がかりとなります。ベースフィットネスは、長期的なトレーニング負荷をもとに、現在どれだけの負荷に耐えられるかを評価します。一方、負荷インパクトは、その日に身体が受けているトレーニング負荷を示します。この2つの関係からトレーニング状態が算出され、フィットネスが向上しているのか、オーバーリーチの状態にあるのか、それともフィットネスが低下しているのかを把握することができます。

これらすべての指標は、パワー、心拍数、トレーニング時間といった測定可能なデータをもとに算出されているため、COROS Training Hubでは、今後のトレーニングを事前に予測することもできます。トレーニングスケジュールをあらかじめ入力しておくと、そのセッションで予想されるトレーニング負荷が表示されます。さらに、1週間分のトレーニング計画を組むと、まだペダルを一度も踏み出していない段階でも、予想されるトレーニング状態を確認することができます。


効率:同じ努力感でより多くを引き出す

効率は、FTPテストで数値の変化が確認できる前に、フィットネスの向上を把握できる指標です。この指標は、ライド中の心拍数とパワー出力の関係を分析し、直近のトレーニング履歴と比較して評価します。発揮しているパワーに対して心拍数が予想より低ければ、効率は向上していることを意味します。一方で、パワーが横ばい、あるいは低下しているにもかかわらず心拍数が上昇している場合は、注意すべきサインです。その原因は、高温や向かい風などの環境要因であることもありますが、疲労の蓄積や、現在のトレーニングブロックによる適応がまだ十分に進んでいないことを示している可能性もあります。

これはサイクリングにおいて、十分に活用されていない指標の1つです。その理由は、1回のライドだけで結果がわかるものではなく、数回のライドを重ねて初めて傾向が見えてくるためです。この指標の真価は、数週間にわたって継続的に確認することで発揮されます。特にベース期やビルド期では、効率が緩やかに向上していく傾向は、FTPがまだ変化していなくても、有酸素能力が向上していることを示す最も明確なサインの1つです。

サイクリング指標ガイド:見るべきデータとその重要性


睡眠とリカバリー:すべての指標を支える土台

前述の指標は、十分なリカバリーがあってこそ意味を持ちます。睡眠は、トレーニングによる適応が実際に起こる時間であり、次に予定している高強度セッションを実施すべきかどうかを判断する重要な要素でもあります。

サイクリストにとって特に重要なのは、次の2つです。1つ目は、トレーニング負荷に対して十分な睡眠時間を確保できているかということです。トレーニング負荷の高い週ほど、身体は深い睡眠やレム睡眠をより必要とします。2つ目は、夜間HRVです。HRVは、身体の回復状態を示す重要な指標の1つであり、翌日に向けて自律神経がどれだけストレスを抱えているかを反映します。HRVが低下し、さらに高いトレーニング負荷が数日続いている場合は、次のセッションを予定どおりのインターバルトレーニングではなく、リカバリーライドに切り替えるべき明確なサインといえます。

これらの数値を最も効果的に活用する方法は、1回ごとの測定結果ではなく、長期的な傾向を見ることです。重要なライドの前日に一晩だけ睡眠の質が低下したからといって、トレーニングを中止する必要はありません。しかし、睡眠の質やHRVが数日間にわたって継続的に低下している場合、特に高負荷なトレーニングブロックの期間中であれば、それは注意すべきサインです。


指標を組み合わせて活用する

これらの指標は、1つだけを見ても本当の意味を理解することはできません。心拍数とパワーはトレーニングの基礎となるデータを示し、トレーニング負荷はその情報を、計画に活用できる1つの数値へと整理します。効率はフィットネスが実際に向上しているかを確認する手がかりとなり、睡眠はトレーニングによる適応を身体がどれだけ取り込めているかを左右します。1つの指標だけに注目するのではなく、これら4つの指標を継続的に確認すること。それによって、多くのデータを活用できるサイクリングというスポーツを、真にデータに基づいたトレーニング計画へと変えることができます。


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