サイクリングにおけるVO₂ Max

サイクリストのためのVO₂ Maxトレーニングガイド。ゾーン5トレーニングが効果的な理由や、ワーク/レストインターバルの組み立て方、さらにレベル別にダウンロードできるCOROSワークアウトを紹介します。

ハードな運動時に身体が取り込み、利用できる酸素量には、すべてのサイクリストに上限があります。有酸素能力や乳酸閾値を高めるトレーニングは非常に重要ですが、パフォーマンスが向上するにつれ、その上限そのものがさらなる成長を左右する要素となります。この上限がVO₂ Maxであり、その向上には、それ以下の強度域とは異なるアプローチによるトレーニングが必要です。


VO₂ Maxが実際に測定するもの

VO₂ Maxとは、運動中に単位時間(通常は1分間)あたりに身体が酸素を取り込み、利用できる最大能力を示す指標です。この能力は、互いに連携して機能する3つの生理学的システムによって決まります。

  • 心拍出量:心臓が1分間に送り出す血液量を指します。血液は肺で取り込んだ酸素を筋肉へ運びます。送り出される血液量が多いほど、より多くの酸素を筋肉へ供給できます。
  • 毛細血管:毛細血管は、酸素が血液から筋肉へと受け渡される非常に細い血管です。毛細血管が多いほど、酸素を筋肉へ届けられる場所も増えます。さらに、筋肉は血液中の酸素を取り込み、利用する効率も高めることができます。
  • ミトコンドリア:ミトコンドリアは筋細胞内にある「エネルギー工場」であり、酸素をエネルギーへと変換する役割を担っています。ミトコンドリアの数が多いほど、より多くの酸素をエネルギーへ変換できます。さらに、この「エネルギー工場」の働きが効率化されることで、エネルギーの産生量も向上します。

すべての有酸素トレーニングは、VO₂ Maxの向上に貢献します。有酸素ベースや乳酸閾値を高めるトレーニングは、多くのサイクリストに大きく、そして持続的な効果をもたらします。そのため、ほとんどのトレーニングプランで最初に取り組むべき重要な要素とされています。しかし、こうしたトレーニングだけでは、身体の酸素運搬能力を限界まで引き出すことはできません。VO₂ Maxトレーニングでは、筋肉が必要とする酸素量に対して、酸素供給が追いつかなくなる限界付近の強度で一定時間トレーニングを行います。十分な有酸素ベースを備えたアスリートにとって、ここはパフォーマンスをさらに高めるための、最も伸びしろの大きい要素の一つです。


適切なトレーニング強度を見つける

パワーゾーンのトレーニング時間データが表示されたサイクリスト

ある程度の高強度であれば、ほとんどの運動は有酸素システムをその能力の限界へと近づけます。全力でスプリントすれば、筋肉が必要とする酸素量はほぼ瞬時に供給量を上回ります。しかし、数秒間だけ酸素運搬能力を限界まで引き出しても、それだけで十分なトレーニングになるわけではありません。VO₂ Maxトレーニングの目的は、その限界付近の状態を一定時間維持し、酸素供給が筋肉の需要に追いつかない状態を継続させることで、身体に適応を促すことです。酸素をより多く必要とする状態に長く身を置くほど、その刺激は強まり、身体はより高いVO₂ Maxを獲得できるよう適応していきます。

強度のバランスは非常に重要です。強度が高すぎると、十分なトレーニング効果を得る前に維持できなくなってしまいます。FTPの140%を超える強度で全力を出すと、酸素摂取量が十分に高まる前に無酸素性エネルギーが急速に消費されてしまいます。その状態は1分、あるいはそれ以下しか維持できず、VO₂ Maxの向上に必要な強度での時間としては十分ではありません。一方で、強度が低すぎると、酸素供給と筋肉の酸素需要とのギャップが十分に大きくならず、トレーニング刺激として不十分です。FTPの100%であれば長時間維持することはできますが、酸素需要を十分に高めることができず、VO₂ Maxの向上に必要な適応を引き出すことはできません。

理想的なVO₂ Maxトレーニング強度は、酸素不足を生じさせるほど高い一方で、その状態を数秒ではなく数分間維持できる強度です。COROSのパワーゾーンモデルでは、ゾーン5が「無酸素持久力」にあたり、通常はFTPの106~120%に相当します。ただし、「無酸素」という名称に惑わされないでください。この強度でも、有酸素システムは休んでいるわけではありません。むしろ、ほぼ最大限の力で働いており、身体の需要を満たすために無酸素性エネルギーのサポートを必要とします。


効果的なVO₂ Maxトレーニングを組み立てる

多くのサイクリストにとって効果的なVO₂ Maxトレーニングの基本構成は、ゾーン5で3分間のインターバルを4~6本行い、各インターバルの間に3分間の軽いペダリングを挟む方法です。これを週1~2回行います。初心者は、まずインターバルの本数を少なくし、リカバリー時間を長めに設定することから始めます。経験豊富なサイクリストは、インターバルの本数を増やしたり、リカバリー時間を短くしたりすることで、目標ゾーンでの合計時間を増やすことができます。

COROSのトレーニングライブラリには、あらゆるレベルに対応したトレーニングセッションがあり、すぐに読み込んで実施できます。

初級: 2分間×3本の高強度、2分間のリカバリー

中級: 4分間×6本の高強度、4分間のリカバリー

上級: 6分間×3本の高強度、6分間のリカバリー

各セッションは、現在のフィットネスレベルに合わせて調整されており、COROSウォッチまたはCOROS DURAに送信して実行できます。フィットネスレベルの向上に伴ってFTPが自動的に更新されるため、トレーニング期間を通してゾーン5の目標強度も自動的に再調整され、現在の能力に合ったトレーニングを継続できます。

丘陵地帯の未舗装路をマウンテンバイクで走行するサイクリストたち。

これらのインターバルをDURAとパワーメーターで行えば、ペース配分を感覚に頼る必要がなくなります。デバイスには、現在のパワーと目標ゾーンとの比較がリアルタイムで表示されるため、よくある2つのミスを防ぐことができます。1つ目は、最初のインターバルで強度を上げすぎて早々に力尽きてしまうこと。2つ目は、余裕を持って続けられると感じるために強度を抑えすぎてしまうことです。本来は、きつさを感じる程度の強度を維持する必要があります。

特に暑さや睡眠不足、1週間のトレーニングによる疲労がある日は、数値だけでなく、体感や呼吸の状態を目安にすることも重要です。ゾーン5のインターバルでは、2~3本目にはきつさを感じる程度が目安です。また、リカバリー時間は、次のインターバルでも同じレベルの強度を維持できる状態まで十分に回復できる長さに設定します。

トレーニング中は、できるだけ一定の出力を維持することが重要です。序盤に強度を上げすぎると、4本目にはゾーン3まで落ちてしまい、狙ったトレーニング効果を得られないこともあるので、リカバリーも重要です。回復時間が短すぎると疲労が蓄積し、各インターバルの強度が目標ゾーンから徐々に離れてしまいます。


トレーニングの成果を実感する

このトレーニングの効果が最もはっきり表れるのは、パワーデータには記録されない場面かもしれません。レース中の急なペースアップについていけるようになったり、以前なら振り落とされていたアタックにも対応できるようになったりすることです。一方で、より数値として実感できる変化もあります。閾値パワーが徐々に向上することです。 閾値を超える強度で行うトレーニングですが、VO₂ Maxの上限を引き上げることで、それより低い強度で行うトレーニングのパフォーマンスも向上する傾向があります。


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