トレイルランナーなら誰もが、トレイルが上りに変わると、体力だけでは十分ではないことを知っています。
長い上りではペース配分が試されます。急勾配では走るか歩くかの判断を迫られ、テクニカルな下りでは疲労が蓄積する中で身体のコーディネーションが問われます。そして、そのすべてを通して重要なのは、努力感を適切にコントロールすることです。
優れたトレイルランナーは、必ずしも最も速く走るランナーとは限りません。エネルギーを賢く配分し、変化する地形でも効率よく進み、最初の上りから最後の下りまで力強い走りを維持できるアスリートこそが、真に優れたトレイルランナーです。
以下の4つのワークアウトは、こうした能力を身につけるために設計されています。初めてのトレイルレースに挑戦する方も、UTMBのようなウルトラトレイルレースに向けて準備を進める方も、これらのセッションを通じて、より総合力の高いトレイルランナーを目指すことができます。
1. 賢く上る:ロングクライムのペース配分を身につけよう

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ウォームアップ
- 20分ジョグ
メイン練習
- 12分上り走 × 3本(ゾーン2~3)
- ゾーン1~2 で5分間、下りをジョグまたはハイクでリカバリー
クールダウン
- 10~15分ジョグ
このワークアウトが効果的な理由
トレイルランナーが陥りやすいミスの1つは、序盤の上りで飛ばしすぎてしまうことです。心拍数は急激に上昇し、疲労は蓄積していきます。その代償は、多くの場合、数時間後になって初めて現れます。
このワークアウトは、辛抱強く走る力を養います。ペースを追い求めるのではなく、ロングレースを通して維持できる持続可能な努力感を意識します。継続して取り組むことで、ペース配分の感覚が身につき、上りでの走行効率も向上していきます。
COROSでチェックするポイント
- インターバルの1本ごとに、心拍数を安定して維持させましょう。
- 各本数で平均心拍数を比較し、一貫した強度で走れているかを確認します。
- 獲得標高と登坂ペースを確認し、安定したパフォーマンスを維持できているかをチェックしましょう。
上達の目安
このワークアウトを数週間ごとに繰り返し実施し、ペースと獲得標高を確認します。同じ心拍数を維持したまま、これらの指標が向上していれば、登坂効率が高まっています。
2.登坂力を鍛え、ランとハイクの切り替えを身につける

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ウォームアップ
- 15–20分ジョグ
メイン練習
- 2分上り走(ゾーン3)
- 2分上りパワーハイク(ゾーン2-3)
- 2分上り走(ゾーン3)
- ゾーン1~2で5分間、下りまたは平地をジョグでリカバリー
クールダウン
- 10分ジョグ
レースでポールを使用する予定の方は、このワークアウトでも実際にポールを使用することをおすすめします。
このワークアウトが効果的な理由
すべての上りを走り切ろうとすると、必要以上に体力を消耗してしまうことがあります。一方で、早すぎるタイミングでハイクに切り替えると、貴重なタイムを失う可能性があります。ランとハイクを状況に応じてスムーズに切り替えることは、レースで結果を出すために欠かせないスキルです。
このワークアウトでは、ふくらはぎ、臀部、大腿四頭筋、そして後面の筋群など、登坂に必要な筋力を強化するとともに、様々な勾配に応じて効率よく動くためのスキルを養います。
COROSでチェックするポイント
- ランとハイクを切り替えるたびに、心拍数の変化を確認します。
- ハイクとランの切替後、心拍数がどれくらい早く安定するかを確認します。
- 各本数の登坂効率を比較し、一貫したパフォーマンスを維持できているかをチェックします。
上達の目安
ハイクに切り替えた際には、心拍数が素早く落ち着き、必要なタイミングですぐにランへ戻れる状態が理想です。ラン→ハイク→ランの切り替えにおいて、前進を続けながら心拍数がより早く安定するほど、心肺機能の適応力が高まっていることを示します。変化する地形に対応するためには、身体を素早く順応させながら、スムーズに動きを切り替えられる能力が重要です。
3. テクニカルな下りに対応する持久力

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ウォームアップ
- 20分ジョグに加え、モビリティエクササイズと下りのドリルを行います。
メイン練習
- 4分×4~6本のテクニカルな下り(ゾーン2~3の努力感)速いピッチ、正確なフットワーク、リラックスした上半身を意識します。
- ゾーン1~2で4分間、上りをハイクまたはジョグでリカバリー
このワークアウトが効果的な理由
ロングトレイルレースの終盤では、下りがレース結果を大きく左右します。疲労が蓄積すると身体のコントロール能力が低下し、着地の精度が落ち、疲れた脚では着地の衝撃を効率よく吸収することが難しくなります。
このワークアウトでは、下りに必要なエキセントリック収縮(伸張性収縮)、テクニカルな下りへの対応力、そして自信を養い、長時間のトレイルランニング後でも効率よく下れるようになります。
COROSでチェックするポイント
- 同程度の努力感を維持しながら、下りのペースを比較します。
- 各本数のラップデータを確認し、一貫したパフォーマンスを維持できているかをチェックします。
- 最高速度ではなく、安定したペースで走ることを意識します。
上達の目安
このワークアウトは、定期的に繰り返し実施するのに適したメニューです。同じコースで毎回の平均ペースを比較してみます。努力感を一定に保ちながらペースが向上していれば、下りでの走行効率が高まっています。
4. 上り・下りの反復トレーニング

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20~30分間の周回コースを選び、以下の区間を含めます。
- 一定時間上り続けられる登坂区間
- テクニカル、または中程度の難度の下り区間
- 比較的平坦な区間
メイン練習
- 周回コースを3~4周走ります
- 全体を通してゾーン2~3の努力感を維持します
- 上りでは一定のペースを保ち、下りではスムーズな動きを意識し、平坦な区間でリズムを整えて次の上りに備えます
- 適した周回コースがない場合は、長めの坂を使って実施します。
このワークアウトが効果的な理由
このワークアウトでは、上り・下り・リカバリーを繰り返しながら、変化する地形に適応する力を養います。地形に振り回されるのではなく、努力感をコントロールしながら走る力を身につけることで、レース本番に近い状況を再現した実践的なトレーニングになります。
目指すのは、すべての区間を同じペースで走ることではなく、周回全体を通して一定の努力感を保つことです。
このワークアウトは、トレーニング後のデータ分析にも最適です。各ラップで安定したパフォーマンスを維持し、心拍数が安定していて、ペースをコントロールできていれば、ロングトレイルレースに必要な持久力が着実に身についています。
COROSでチェックするポイント
- 各周回の平均心拍数を比較します。
- ラップごとの獲得標高を確認します。
- 後半の周回でペースと心拍数を確認し、疲労によるパフォーマンスの変化がないかをチェックします。
- 最初の周回から最後の周回まで、一貫した努力感を維持することを目指します。
上達の目安
天候や路面状況の影響は受けますが、各周回の平均ペースを継続的に比較し、同じ心拍数を維持したままペースが向上していれば、持久力と走行効率が向上している良い指標になります。
ただ頑張るだけではなく、賢くトレーニングしよう
優れたトレイルランナーは、1つの強みだけで決まるものではありません。力強く上り、自信を持って下り、効率よく歩き、状況に応じてペースをコントロールできる総合力を備えています。
今回ご紹介した4つのワークアウトは、それぞれのスキルを個別に鍛えるだけでなく、変化する地形に対して身体がどのように反応するかをより深く理解することにも役立ちます。継続して取り組むことで、上りではより効率的なペース配分を身につけ、ランニングとパワーハイクをスムーズに切り替え、自信を持って下りを走り切り、長時間にわたる山岳地帯でも一貫した努力感を維持できるようになります。
これらのワークアウトを継続的に実施し、毎回のトレーニング後にデータを振り返り、その結果を次のトレーニングに活かしていきましょう。
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